やりたい仕事が見つからない時に読む本ー『働くことがイヤな人のための本』感想
それにしてもたいそうおかしいと思うことは、自分の好きな仕事を見出せない者を蔑視する現代日本の風潮だ。
「自分のやりたいことがきっと何か一つあるはずだ」というお説教は、正真正銘のウソだ。ほとんどの人は、目を皿のようにして探してもそんなものは見つからない。
真摯に求めないからではない。さまざまな要因が絡み合い、不運が重なり合って、なんの生きがいも感じない仕事、ただ金を貰うだけの仕事に従事しているのである
同感。働くことがイヤ、とまでは言えない。楽しく感じるときもあるし、仕事があるだけでもありがたいことだと思う。でも自分は一体何をやってるんだろう? 人生の大切な時間を仕事に費やしてしまっていいんだろうか? と思ってしまうときもあって、そんなモヤモヤに覆われてしまうと辛い。
そんなときはこの言葉を思い出して、私以外にもこう感じている人がいること、そう思うのは自分がやりたい仕事を求める努力を怠ったわけではないこと、を認識すると心が少し軽くなる気がする。
『働くことがイヤな人のための本ー仕事とはなんだろうか』
哲学者 中島義道さんの本。
何冊か彼の本を読んだのですが、厭世的(人生を悲観し、生きているのがイヤになっている)というか、どうせ死んでしまうなら何をやっても無意味、と思っている印象を受けます。
冒頭の文章以外に印象に残ったのはこちら
カミュが愛用していたニーチェの言葉がある。それは「私を殺さないかぎり、私はますます強くなる」というものだ。
私にはこの言葉の意味がよくわかる。人生の目標がはっきりしており、しかもそれは実現されなくてもよいのだも悟った途端、きみは何をしても失敗することはない。
(中略)
きみがきみのすべての弱点をそのまま背負ってできる固有の「よい生き方」を目標にするかかぎり、失敗はない
私は弱点・欠点だらけだ。世間がよいと褒めそやす人生は多分送れない。
でも、人生が成功か、失敗か、なんて、私以外には決められない。
自分の人生をよく生き抜いたものだと、自分自身で思えるように生きたいものです。