その幸せはいくらに値するのか?ー『幸福の計算式』感想
『幸福の計算式ー結婚初年度の「幸福」の値段は2500万円!?』 ニック・ポータヴィー
世の中で、「幸せ」とされていることは、平均的にはいくらくらいに値するのか、を研究した本。幸せはお金では買えないといいますが、お金に換算したらいくらなのか? がわかります。
お金は人を幸せにするが、私たちが考えているほどではない。
どんなことでも、それについて考えている時には、その重要性を過大評価してしまう。
ギクッとさせられますね。お金を持っている状態を、持っていない人は過大評価してしまっているということでしょう。
同じように、結婚していない人は結婚を過大評価しているとか、人生のいろんな場面に当てはまる気がします。
結婚に至るまでの数年間、人はとても幸せになれる。もちろん、結婚のプラスの影響が最も高まるのは結婚した年だが、この蜜月が続くのは2年間。
うーん、なんか分かる。
子どもをもつ喜びは1年も続かない。人は子どもをもつ数年前から幸せになり、子どもが生まれた年にピークを迎える。その後はマイナスに。5年経つと幸福度が下がった状態にようやく慣れる。
この本の面白いところは、結婚した、子どもを持った本人たちは、自分たちを幸せだと思っていること。
でも、幸福度を自己申告してもらって、それを結婚していない人、子どもがいない人と比較すると、客観的には差が出るのはわずか数年で、その後は同じくらいか、むしろ幸福度が落ちる。
主観的な幸福(結婚してない人、子どもがいないより私は幸せ!)と、客観的な(比較論的な)幸福度は必ずしも一致していない。
結婚していないこと、子どもがいないことに劣等感や、不安を覚えている人に、ぜひ一度読んでほしい本です。
また、逆にこの本では、不幸についても扱っていて、
人間はマイナスの感情にもプラスの感情にも慣れるけれども、失業や長い通勤時間といったマイナスの経験については、どれだけ時をかけても完全に傷を癒すことは難しいそうです。
失業は避けようがない部分がありますが、長い通勤時間がそこまで人間に大きい影響を与えるとは思いもしませんでした…。
世の中にはいろんな研究をしている人がいるものだなーと思いますね。